音楽や絵画など、芸術的才能に関わる遺伝子
公開日:2015年12月25日
遺伝子が音楽的才能に与える影響は非常に高く、いくつかの遺伝子と音楽的才能との関係も報告されています。一方、絵画の才能と遺伝については、調べた限りあまり情報がありませんでした。また、芸術的な創造性は、根源となる遺伝子を統合失調症や双極性障害(躁うつ病)と共有している可能性も指摘されています。
AFP通信
芸術的創造性、精神疾患と共通の遺伝子で発現か(2015)

音楽的才能との関わりが研究されている遺伝子の例
-
SLC6A4遺伝子
SLC6A4遺伝子は神経伝達に関わるタンパク質の一つの遺伝子で、これまでこの遺伝子の異常が神経症に関連することが報告されていましたが、リズム感にも関わっていることが、最近の研究で分かってきたそうです。
PLoS Genetics (2005) Vol.1, No.3
AVPR1a and SLC6A4 Gene Polymorphisms Are Associated with Creative Dance Performance -
GATA2遺伝子
GATA2遺伝子は内耳の有毛細胞に関わる遺伝子で、内耳細胞は、音の振動数を捉えて脳に信号を伝達する働きをもっています。音楽のテストと遺伝子のSNPの相関を調べたフィンランドの研究では、音楽のテストで良い成績を収めたグループは、このGATA2遺伝子の変異が際立っていたそうです。
Nature Molecular Psychiatry (2015) 20, 275-282
A genome-wide linkage and association study of musical aptitude identifies loci containing genes related to inner ear development and neurocognitive functions -
PCDH7遺伝子
PCDH7遺伝子は、音を脳内で変換する仕組みをもつ「へんとう体」と呼ばれる部分に関わる遺伝子です。こちらも上記のGATA2遺伝子と同じテストにおいて、良い成績だったグループの中で変異が目立った遺伝子だったそうです。
このページが役に立ったらシェアお願いします!
あわせてよく読まれる記事
-
頭の良さは母親の遺伝?知能に関わる遺伝子
知能に与える遺伝子の影響は小さくありませんが、「天才遺伝子」なるものはこれまでのところはっきりとは見つかっていません。一方、知的障害等に関わる遺伝子については複数見つかっており、そこからヒトの知性や言語能力の謎を探ろうという研究が、進められています。…
-
子供の才能は遺伝子次第?
能力や才能については、「生まれか育ちか」と議論されますが、最近の双生児研究などから、遺伝要因に、環境要因、時間要因が複雑に影響していることが分かってきました。また、各能力に深く関わる遺伝子も見つかってきています。…