人付き合いが苦手な人は遺伝かも？共感力と「OXTR遺伝子」

OXTR遺伝子の違いで相手の感情の読み取り能力に差が！

OXTR遺伝子は、オキシトシンというホルモンの受容体の遺伝子の1つであり、3番染色体上にあります。また、オキシトシンには、向社会性や他人に対する信頼感を高めたり、ストレスを緩和したりする機能があるといわれています。

このOXTR遺伝子には、6930番目の塩基がグアニン（G）のものとアデニン（A)のものがあります。遺伝子は、父親由来のものと母親由来のものがありますので、「GG」、「GA」、「AA」の3タイプの組み合わせがあることになります。

この3つのタイプの遺伝子を持つ人を対象にした「共感テスト」（相手の目から感情を読み取ったりするテスト）において、GGタイプの人たちの平均値は、そのほかのタイプの人たちよりも成績が5％ほどよかったそうです。

Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 Dec 15;106(50):21437-41.
Oxytocin receptor genetic variation relates to empathy and stress reactivity in humans.

OXTR遺伝子のタイプはその人のふるまいからも判定可能？！

このOXTR遺伝子のタイプを、その人のふるまい等から判定してみよう、という実験も行われています。

アメリカの米オレゴン州立大学の研究チームが発表した論文によると、高い確率で遺伝子型がGG型か、それ以外かを見極めることができたそうで、観察者が「最も信頼できない」という印象を持った10人のうち、9人の遺伝子型がAA型またはGA型、「最も社会性がある」という印象を持った10人のうち6人がGG型だったそうです。

Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Nov 29; 108(48): 19189–19192.
Thin-slicing study of the oxytocin receptor (OXTR) gene and the evaluation and expression of the prosocial disposition

ただし、OXTR遺伝子の違いがどのように作用しているかはまだ分かっていない

米オレゴン州立大学の研究結果は、遺伝子のごくわずかな違いが他人も気づくほどの行動の違いに現れる場合があることを示しているといえます。しかし、今のところ、人のふるまいに決定的な影響を与えている遺伝子というものは見つかっていません。また、OXTR遺伝子についてもそのタイプの違いによって、オキシトシン受容体の働きがどのように異なっているのか、まだ分かっていないそうです。

OXTR遺伝子を調べてくれる遺伝子検査は？

ジェネシスヘルスケア社の「GeneLife Myself2.0」は、OXTR遺伝子のタイプを調べて、その結果から、恋愛初期のコミュニケーション力などを判定してくれるそうです。興味のある方は受けてみては？意外な結果が返ってくるかもしれませんね。

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