髪の毛が生える仕組みと遺伝子
公開日:2016年01月25日
はげ(薄毛)は遺伝するものとよく言われます。実際、薄毛になりやすいかどうかについて、遺伝子検査で調べるサービスもあります。しかし、そもそも髪の毛はどのようにして生えてくるのでしょうか。薄毛の話の前に、まずは毛の生える仕組みとそこに関わる遺伝子について、説明したいと思います。
発毛に関わる遺伝子の染色体上の大まかな位置
(1) EDAR遺伝子が一部で発現
そもそも毛は、皮膚が変形したもので、皮膚の表面には「表皮細胞」からなる「表皮層」があり、その下には「真皮細胞」が散らばる「真皮層」があります。まず、毛がつくられる時期になると、それまで表皮細胞全体で発言していたEDAR遺伝子※1が、一部の表皮細胞でのみ、発現するようになります。
※1 EDAR遺伝子:
2番染色体に存在する遺伝子で、毛髪の太さに影響を与える遺伝子といわれています。
Hum Mol Genet. 2008 Mar 15;17(6):835-43
A scan for genetic determinants of human hair morphology: EDAR is associated with Asian hair thickness
(2) SHH遺伝子の発現と、真皮細胞の集中
(3) BMP4遺伝子の発現
(4) 毛芽の誕生
(5) 毛の成長期
(6) 毛の退行期
(7) 新しい毛の伸長
毛の伸長には周期があり、ヒトの場合2~6年の周期で、(5)から(7)の、伸びる → 休止 → 抜ける → 伸びる を繰り返します。なお、男性は年をとると、この周期を繰り返すたびに、毛が細く短くなっていきます。
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