新型出生前診断(NIPT)の検査精度について

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皆さんは、病気の検査を受けたとき、最初の検査では陽性だったのに、その後、精密検査を受けたら陰性だった、というような話をよく聞かないでしょうか。ここでは、前ページで紹介した新型出生前診断(NIPT)の検査精度について、少し説明をしたいと思います。

NIPTは非侵襲でありながら比較的高い精度で、胎児のダウン症検査が可能です。具体的には、ダウン症の子供を産んだ母親では99.1%が陽性と判定され、ダウン症でない子供を産んだ母親では99.9%が陰性と判定されています。これを聞くと、NIPTで陽性と判断されるとほぼダウン症の子供が生まれるように感じますが、実はそうではありません。具体的に数字を使って説明したいと思います。


まず、40歳の妊婦が100万人いると仮定しましょう。40歳の妊婦からダウン症の子供が生まれる確率は約1/100と言われています。

そうすると、40歳の妊婦100万人から生まれる子供は、

という計算になります。


この100万人がNIPTの検査を受けたとします。そうすると、

となります。


ここで陽性と判定された子供に限って見てみましょう。

ダウン症と判定された子供は、1. と 3. を足して、
9,910人 + 990人 = 10,900人

そのうち、本当にダウン症なのは、1. の9,910人なので、陽性的中率は、
9,910 / 10,900 ≒ 90.1%

となります。つまり、陽性と判定されても約1割はダウン症ではないことになります。


次に、25歳の妊婦100万人の場合を考えてみましょう。25歳の妊婦からダウン症の子供が生まれる確率は約1/1000と言われています。

同じように計算すると、

となります。


先ほどと同じく、陽性と判定された子供に限って見てみると、

ダウン症と判定された子供は、1.と 3. を足して、
991人 + 999人 = 1,990人

そのうち、本当にダウン症なのは、1. の991人なので、陽性的中率は、
991 / 1,990 ≒ 49.8%

となります。つまり、陽性と判定されても約半分がダウン症ではないことになります。


NIPTは精度99%以上ですが、ダウン症と判定されてもこのように確定的なものではありません。NIPTで陽性と判定された後に、羊水検査などの確定検査を再度受けるのは、このような理由からなのです。