遺伝子検査に関する全知識まとめ
更新日:2017年01月27日
遺伝子検査って何を調べるの? 病院での検査との違いは? どうして会社によって検査結果が異なるの? など、遺伝子検査に関する様々な疑問や検査キットの選び方など、遺伝子検査に関する知識をわかりやすくまとめました。
遺伝子検査とは
まとめ
- 遺伝子検査とは、遺伝子を解析し、体質や遺伝性疾患のリスクなどを調べる検査
- 技術の進歩でコストが下がり、医療機関を介さないDTC(Direct-to-Consumer)遺伝子検査が、数千~数万円で受けられるように
- ただし、乳がんの「BRCA1」遺伝子など、将来高い確率で発症しうる遺伝性の病気は、DTC遺伝子検査の対象外
ⅰ だれでも自分の遺伝子を調べることができる時代に!
遺伝子検査とは、遺伝子を解析し、体質や遺伝性疾患のリスクなどを調べる検査です。一昔前までは、遺伝子を調べるためには莫大なコストがかかっていましたが、技術の進歩によって、今ではかつての100万分の1程度にまで下がってきているといわれています。
ヒト1人分のゲノム解読にかかる費用の推移
2016年現在、ヒト1人分のゲノム解読にかかる費用は10万円程度にまで下がっています。
NIH Natinonal Human Genome Research Institute より
そうした中から、医療機関を介さずに誰でも手軽に遺伝子検査を受けることができて、将来の病気の発症予防などにつなげられればと、DTC(Direct-to-Consumer)遺伝子検査は誕生しました。DTC遺伝子検査は、いくつかある遺伝子検査のうちの1つですが、最近はDeNAヘルスケア社のマイコードやジェネシスヘルスケア社のGeneLifeなど、広告もよく目にするようになったので、多くの人にとって遺伝子検査といえば、DTC遺伝子検査のことをイメージすると思います。
遺伝子検査について、もっと詳しく知るには
-
遺伝子検査とは? - 種類や費用など
遺伝子検査は、ヒトに感染症を引き起こすウイルス、細菌などのDNA等を検出・解析する「病原体遺伝子検査」、癌化している細胞から癌細胞特有の遺伝子の異常などを検出する「ヒト体細胞遺伝子検査」、ヒトが生まれつき持っている遺伝子の特徴を調べる「ヒト遺伝学的検査」の3つに定義されています。DTC遺伝子検査は、この中の「ヒト遺伝学的検査」の1つです。…
ⅱ 遺伝子検査の方法と費用
DTC型の遺伝子検査では、おおむね次のような流れになっています。
まず、インターネット等からサービス事業者に遺伝子検査の申し込みを行います。すると、数日から数週間後に検査キットが自宅等に届きますので、その検査キットを使って、自分のDNAを採取、事業者へ返送します。DNAの採取といっても簡単なもので、だいたい唾液の採取か口の中の粘膜を少しこすって採取するといった程度のものです。
送られたDNAは、専門の検査施設で解析が行われます。自前で検査施設を持っている事業者は自社で解析を行いますが、そうでない事業者は、別の検査機関に解析を委託します。
検査結果が分かるようになるのは、DNAを送ってから、数週間から2か月後くらいです。また、最初の検査結果通知後も、最新の研究結果内容に合わせて、結果内容をアップデートしてくれる事業者もあります。
また、遺伝子検査にかかる費用は、病気のリスクや体質などを幅広く、数10~数100項目検査するタイプのものであれば、数万~5万円前後、1~3程度の少数の項目(肥満遺伝子やアルコール代謝にかかわる遺伝子など)を検査するタイプのものであれば、5,000~1万円前後のものが多いです。
DTC遺伝子検査の流れ、方法について、もっと詳しく知るには
-
DTC遺伝子検査の流れ、方法について
DTC遺伝子検査のステップは、おおむね「キットの購入」「検体の郵送」「DNAの解析」「結果通知」という流れです。…
ⅲ DTC遺伝子検査と病院の遺伝子検査との違い
ここで、遺伝子検査を受けようと考えていらっしゃる方に、理解しておいていただきたいことがあります。それは、「将来きわめて高い確率で発症しうる病気の遺伝子の検査は、DTC型の遺伝子検査の対象外である」ということです。例えば、アンジェリーナ・ジョリーさんの両乳房切除で有名になった乳がんの「BRCA1」遺伝子などは、検査の対象外なのです。これは、日本では、法律によって、
医師でなければ、医業をなしてはならない。(医師法第17条)
と定められていて、将来極めて高い確率で特定の病気を発症しうる遺伝子を調べることは、医業、医療行為の「診断」にあたるからです。
この点を踏まえて、
- すでに発症している、あるいは、親族に発症している人が多い遺伝性の病気に対して、医師の診断を必要とする対処のためには、病院での検査
- 生活習慣病などの誰にでも起こりうる「ありふれた」病気に対して、医師の診断を必要としない自己処(生活習慣の改善など)のためには、DTC型の検査
と、目的別で考え、これら2つをうまく利用していくべきです。
病院で受ける遺伝子検査について、もっと詳しく知るには
-
病院で受ける遺伝子診断とDTC遺伝子検査の違い
病院で受ける遺伝子診断(遺伝学的検査)とDTC遺伝子検査との違いは、それが医療行為の「診断」にあたるかどうかです。単一の遺伝疾患や遺伝的要因によって発症する可能性が極めて高い疾患の調査は「診断」にあたるため、DTC遺伝子検査では実施していません。…
ⅳ 遺伝子検査の種類
ここまでざっと遺伝子検査について説明してきましたが、実は遺伝子検査は、医学関連学会(「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」より)で、次の3種類が定義されています。
- (1) 病原体遺伝子検査(病原体核酸検査)
- ヒトに感染症を引き起こすウイルス、細菌などのDNA等を検出・解析する検査です。(患者さんの遺伝子を調べるものではありません。)特定の感染症に感染していないかどうかを調べるためなどに使われていて、現在の医療現場で欠かせない技術になっています。
- (2) ヒト体細胞遺伝子検査
- 癌(がん)化している細胞の中から、がん細胞特有の遺伝子の異常などを検出し、病状とともに変化し得る”一時的な”遺伝子情報を明らかにする検査です。こちらも病院などで白血病の検査などに使用され、進行中のがんの治療に役立てられます。(テレビやネットで「遺伝子検査キットを使って調べるがん検査」が話題ですが、こちらは将来のリスクを調べるもので、(3) のヒト遺伝学的検査の1つです。)
- (3) ヒト遺伝学的検査
- (2) ががん細胞内で変化している遺伝子を調べるのに対して、(3) のヒト遺伝学的検査は、基本的にその人が生まれつき持っている、一生変わらない遺伝子の特徴を調べる検査です。一昔前までは、病院で受ける特殊な検査や刑事事件のDNA鑑定などのイメージでしたが、DNAの解析技術が飛躍的に発展した結果、今では自宅にいながら数千円から数万円で検査が受けられる時代になり、その人の体質や将来の病気リスクなどを調査するサービスが出てきています。
実は最も多く利用されているのが、(1) の病原体遺伝子検査で、全体の9割以上を占めるのですが、一般的な遺伝子検査のイメージは、3のヒト遺伝学的検査でしょう。当サイトでも基本的には、3のヒト遺伝学的検査のことを遺伝子検査とよんで、説明します。
遺伝子検査の主な検査項目
まとめ
- 遺伝子は、A、C、G、T の塩基が順番につながって構成されているが、そのうちの1つが本来の塩基とは別の塩基に置き換わったものがあり、それをSNPと呼んでいる
- SNPの一部が、病気や体質の違いを生む要因の1つになっていると考えられている
- 遺伝子検査では、このSNPを調べることで、体質や病気のリスクを判定する
- ただし、多くの遺伝要因や環境要因が絡むことなので、遺伝子検査の結果だけで、将来の病気の発症を予測することは困難
ⅰ 遺伝子検査で調べるSNP
DTC遺伝子検査では、DNAのSNP(スニップ:1塩基多型)と呼ばれるものを調べます。SNPとは、DNA中の1つの塩基(DNAを構成するA(アデニン)、G(グアニン)、C(シトシン)、T(チミン))が別の塩基に置き換わったもので、ヒトゲノムには約300万個、約1,000塩基に1個の割合でSNPがあるといわれています。このSNPの一部が、病気や体質の違いを生む要因の1つになっていると考えられています。
SNP(1塩基多型)
(「あなたと私はどうして違う?体質と遺伝子のサイエンス」(中尾光善 羊土社 2015年)より転載)
塩基の違いが疾患の原因や体質の違いに現れる場合がある
SNPについて、もっと詳しく知るには
-
SNP(1塩基多型)とは
SNP(1塩基多型)とは、DNAの中の1つの塩基が別の塩基に置き換わったもので、ヒトゲノムでは、約300万個あるといわれています。このSNPは、人が病気になったり、体質の違いを生む要因の一つになっているのではないかと考えられています。…
ⅱ 遺伝要因と環境要因、どちらが大きい?
近年の遺伝子検査の普及には、検査技術の向上とあわせて、GWAS(Genome Wide Association Study)によって、SNPがたくさん発見されていることが大きく寄与しています。
(参考) http://www.genome.gov/gwastudies/
ただし、GWASで見つかったSNPによる特定の病気の起こりやすさ(オッズ比)は、ほとんどが1.1~1.5程度と低いものです。つまり、遺伝子検査の結果だけで、将来の病気の発症を予測することは困難であり、遺伝要因よりも環境要因による発症リスクが高い病気も少なくないことを、私たちは十分理解しておく必要があります。
遺伝的要因が高い遺伝病から、複数の遺伝子が少しずつ関与する生活習慣病、遺伝子の関与が弱い感染症や後天的あるいは環境因子の関与が強くなる日常のけがなどがある
ⅲ 遺伝子検査の主な検査項目
DTC遺伝子検査では、医師法に抵触するため、遺伝性の病気などは検査できませんが、多数の遺伝要因や環境要因が関わって発現する次のような項目のSNPを調べてくれます。ただし、病気や体質に関わる全てのSNPが発見されているわけではありませんので、遺伝子検査結果で得られる情報は、一部のSNPによる情報のみになります。
- 肥満遺伝子(ダイエット)、薄毛(AGA)、肌質などの体質に関するもの
- 多因子性のがんや生活習慣病の発症リスク
- 学習能力
- 運動能力
- 性格
そのほか、自分の祖先(ルーツ)も調べてくれるサービスもあります。
【体質、病気のリスクなど様々な項目を調べてくれる商品の例】
など
【肥満遺伝子(ダイエット)を調べてくれる商品の例】
など
【薄毛(AGA)を調べてくれる商品の例】
など
【祖先(ルーツ)を調べてくれる商品】
など
遺伝子検査で分かること、わからないことについて、もっと詳しく知るには
-
DTC遺伝子検査の調査項目 - 分かること、分からないこと
DTC遺伝子検査では、多数の要因が絡んだ疾患のリスクや体質等の傾向についての調べますが「単一遺伝子疾患」、「家族性がん(遺伝性のがん)」等については、ほぼサービス対象外です。…
遺伝子検査の精度と信頼性・信憑性
まとめ
- 一定の検査基準を満たした事業者には、CPIGI認定やCAP認定などが認定される
- 検査結果が各社で異なるのは、リスク推定に使用されるSNPや論文およびリスク計算アルゴリズムが、各社によって異なるから
- 検査結果の「リスクが1.5倍」とは、あなた個人が1.5倍その病気にかかりやすい、という意味ではない
ⅰ 分析の質、科学的根拠、情報提供の方法
遺伝子検査を受けるにあたって、最も気になるのは、その精度と信頼性・信憑性です。この点について、2014年2月に発表された経済産業省の(遺伝子検査ビジネスに関する調査)報告書 では、以下の3つの課題について、論点整理を行っています。
- 検査の質をいかに担保するか(分析の質の担保)
- 科学的根拠をどう担保するか(科学的根拠)
- 情報提供をどう適切に行うか(情報提供の方法)
遺伝子検査会社を選ぶにあたっては、これらの点をきちんとサイト上で説明している会社を選ぶべきです。逆に、何の説明もしていない会社は、信頼性に問題があると思います。
分析の質、科学的根拠、情報提供の方法について、もっと詳しく知るには
-
DTC遺伝子検査の精度と信頼性・信憑性
DTC遺伝子検査を受けるにあたって、最も気になるのは、その精度と信頼性・信憑性です。この点について、経済産業省は、3つの課題「分析の質の担保」「科学的根拠」「情報提供」について論点整理を行っていますのでは、これらについて解説します。…
ⅱ 遺伝子検査のガイドライン
遺伝子検査は、正しい科学的知見に基づく事実を伝えることができれば、消費者の健康増進に一定の役割を果たせる可能性があります。各省庁、団体も遺伝子検査ビジネスを抑えるための規制ではなく、適正なビジネスに育てていくためのルールづくりという観点で、ガイドラインの整備を進めています。
また、遺伝子検査事業者側に対しては、これらのガイドラインのチェック体制を整えたうえで運営をすることが求められています。
遺伝子検査の信頼性を担保するために国内の各省庁、団体が出しているガイドラインをまとめました。
-
日本での遺伝子検査に関するガイドライン
国内の各省庁、団体は、ガイドラインを遺伝子検査ビジネスを抑えるための規制ではなく、適正なビジネスに育てていくためのルールづくりととらえています。ここではその一部を紹介いたします。…
ⅲ CPIGI認定制度
「CPIGI認定」は、経産省と連携してNPO法人個人遺伝情報取扱協議会(CPIGI)が定めた「個人遺伝情報を取扱う企業が遵守すべき自主基準 」を遵守しながら事業を行っているかを、第三者機関が公平・中立的な観点で審査した上で、CPIGIが認定する制度です。
2016年5月31日に第1回のCPIGI認定が発表 され、DeNAライフサイエンス社やジェネシスヘルスケア社などの9社10サービスが認定を受けました。
【CPIGI認定を受けている事業者】
DeNAライフサイエンス、ジェネシスヘルスケア、ハーセリーズ・インターナショナル、エバージーン など
【CAP認定(米国臨床病理医協会の施設認定)を受けた分析機関で遺伝子検査を行っている事業者】
ジーンクエスト、Yahoo! JAPAN など
ⅳ リスクが1.5倍とは、どういう意味か
次に、遺伝子検査の結果レポートに記載されている「病気の発症リスクが1.5倍」といよう言葉の意味について説明します。
これは、「あなた個人が1.5倍その病気にかかりやすい」、というようにとらえがちですが、そうではありません。回りくどい言い方になってしまいますが、「あなたと同じ遺伝子型を持つ人たちの疾患リスク分布が、そうでない人たちの疾患リスク分布と比べて、リスクの平均値が1.5倍」という意味です。分かりにくいので、絵で表してみましょう。
あくまで検査した遺伝子の範囲で、グループ間の平均値を比べたものです。実際は、そのほかの遺伝子や生活環境の影響など、多くの要因によって病気は発症するのですが、今の遺伝子検査の技術では、あなた個人の発症リスクまでは判定できません。
ⅴ どうして会社ごとに結果が異なるのか
「遺伝子検査を複数の会社で受けたら、結果がそれぞれ違っていた」という記事をよく見かけます。これは、リスク推定に使用されるSNPや論文およびリスク計算アルゴリズムが、各社によって異なるからです。ただこれは、現時点では仕方のないことかもしれません。いずれ業界でリスク推定の標準化がなされていくことを期待したいです。また、その観点からも遺伝子検査は、検査結果通知後も検査結果を最新の情報に更新し続けてくれる会社を選ぶのがよいでしょう。
一般的な病気には、複数の遺伝子が複雑に影響していて、そのメカニズムの全てが明らかになっているわけではありません。
また、検査会社によって調べる遺伝子のSNP、根拠とする論文、リスク推定アルゴリズムが異なります。
そのため、同じ病気であっても、検査会社によって異なるリスク推定がなされる場合があります。
【継続的に検査結果のアップデートを行ってくれる会社の例】
DeNAライフサイエンス、ジーンクエスト、Yahoo! JAPAN など
検査を受ける意味・必要性はあるのか
では、DTC遺伝子検査を受ける意味、必要性はあるのでしょうか。結論から言うと、「ある」といえます。それは、発症リスクのある遺伝子多型を告知されることで、疾患の発症リスクを下げるための生活習慣改善の強い動機づけになり、さらには医療介護費の削減につながる可能性があるからです。
(「多因子疾患の遺伝子多型告知による生活習慣改善動機づけの成果」 遺伝子医学MOOK28号4-2 P207-214(2015年) より)
その点から言えば、DTC遺伝子検査を受けるのであれば、遺伝子検査結果と生活習慣改善のポイントを分かりやすく解説してあったり、アフターフォローがしっかりしている会社の遺伝子検査を受けるのがよいでしょう。
【生活改善アドバイスやアフターフォローがある会社の例】
DeNAライフサイエンス、サインポスト など
遺伝子検査を受けるデメリット、問題点
まとめ
- 遺伝子検査を受ける主なデメリットは、将来への心理的負担と遺伝子差別のリスク
- 遺伝に関する不安があれば、専門の遺伝カウンセラーへ
ⅰ 心理的負担と遺伝子差別
DTC遺伝子検査を受けるときは、唾液または口内粘膜を採取するだけなので、身体的な負担はほとんどありません。また、DNA解析技術の進歩と研究の進展により、検査を受ける経済的負担もそれほど大きいものではありません。ゆえに主なリスクとしては、検査結果がもたらす「将来この病気にかかるかもしれない」という心理的負担と、遺伝子検査結果をもとに保険の加入や雇用を拒否されるといった「遺伝子差別」の恐れでしょう。また、遺伝子検査の結果は、高い確率で親族にも当てはまるため、結果的にリスクを親族で共有することになる可能性があることをあらかじめ理解しておく必要があります。
遺伝子検査を受けるデメリット、問題点について、もっと詳しく知るには
-
DTC遺伝子検査を受けるデメリット、問題点
DTC遺伝子検査を受ける主なデメリットは、検査結果がもたらす心理的負担と「遺伝子差別」の可能性です。また、受ける会社によって検査結果が異なることも、問題点の1つです。…
ⅱ 検査結果に不安を感じたら、カウンセリングへ
遺伝に関する問題は、本人の将来や生活設計、さらには家族・親族全体のプライバシーに関わる問題になるため、誰にでも気軽に相談できるような話ではありません。また、この分野の進歩はめざましく、日々新しい研究結果が発表されるので、かかりつけの医者が常に最新情報をキャッチアップして、適切なフォローをすることは容易ではありません。
そのため、遺伝に関する問題を専門に扱うカウンセリングが全国の大学病院などに開設されており、治療にかかわる様々な診療科や地域医療と提携し、多面的な支援を行っています。遺伝子検査で不安を感じたら、これらのカウンセリングを受けてみるのもよいでしょう。
DTC遺伝子検査においても、検査前後で利用者からの相談に対応できる、遺伝カウンセリング体制を整備することが、「個人遺伝情報保護ガイドライン」(2004年12月 経済産業省)等で求められています。遺伝子検査の結果に不安があるのなら、遺伝子検査を選ぶ際には、カウンセリング体制をきちんと準備している会社を選ぶほうがいいでしょう。
【カウンセリングを提供している会社の例】
DeNAライフサイエンス、ジーンクエスト など
遺伝カウンセリングについて、もっと詳しく知るには
-
遺伝カウンセリング - 遺伝子検査で不安になったら? -
遺伝に関する不安は、専門の遺伝カウンセラーに相談することができます。遺伝カウンセラーは、大学病院等のほか、一部のDTC遺伝子検査会社にも在籍していて、検査利用者からの相談に応じてくれます。…
遺伝子検査キットの選び方と比較ポイント
まとめ
- 検査を受ける目的に合った検査キットを選びましょう
- 検査体制や個人情報の保護管理がきちんとした会社を選びましょう
- 遺伝子解析が国内で行われている会社を選びましょう
- 検査結果が随時更新される会社を選びましょう
ⅰ 検査を受ける目的に合った検査キットを選びましょう
将来の病気リスクを下げるために生活習慣を改善していきたいのであれば、カウンセリングを含め、きちんとアフターフォローの整った会社を選びましょう。一方、軽い気持ちで肥満遺伝子のタイプを知りたいだけであれば、ダイエットプログラム専用の検査を選ばなくても、オール・イン・ワンタイプの検査キットの中にだいたい含まれていますので、他の項目も知りたいのであれば、そちらのほうがお得です。
※ 「単一遺伝子疾患」、「家族性がん(遺伝性のがん)」、「親子鑑定」等については、DTC遺伝子検査では、ほぼサービス対象外です。
ⅱ 検査体制や個人情報の保護管理がきちんとした会社を選びましょう
遺伝情報は究極の個人情報です。検査体制や個人情報の保護管理がきちんとしている会社を選びましょう。チェックには、経産省が作成したチェックリストが参考になります。
ちなみに、当サイトでは、管理者が調べて問題なさそうだと判断した会社のみ、掲載しております。
ⅲ 遺伝子解析が国内で行われている会社を選びましょう
遺伝子解析を海外の業者に委託している検査会社も多いですが、海外の業者ではどういった水準で解析が行われ、得られた情報の管理はどのようになされているのか、わからない点が多いです。そのため、国内で遺伝子解析を行っている会社の遺伝子検査キットを選ぶほうが良いです。
なお、当サイトでは、解析を国内で行っている会社のみ、掲載しております。
ⅳ 検査結果が継続的に更新される会社を選びましょう
遺伝子分野の研究は日々進歩しています。以前受けた検査結果の根拠となっていた学説が、今では別の学説が正しいとされている、というようなこともありえます。そのため、『科学的根拠となる情報は今後も変化し続ける』ということを前提に、結果通知後も結果情報を継続的にアップデートしてくれる会社を選ぶのが良いでしょう。
【継続的に検査結果のアップデートを行ってくれる会社の例】
DeNAライフサイエンス、ジーンクエスト、Yahoo! JAPAN など
遺伝子検査キットの比較に当たっては、以下のページも参考にしてみてください。
-
遺伝子検査キットの選び方
現在、国内でDTC遺伝子検査事業を展開している会社は数10社あります。このページでは、遺伝子検査キットを選ぶときのポイントを紹介します。… -
遺伝子検査キットの比較表
現在、国内でDTC遺伝子検査事業を展開している会社は数10社あります。このページでは、遺伝子検査キットを選ぶときのポイントを紹介し、各社の商品情報を掲載します。…
遺伝子検査会社 人気ランキング
遺伝子、遺伝子検査についてもっと知りたい方へ
このページを作成するにあたり、参考にしている書籍等を紹介します。
参考資料一覧
このページが役に立ったらシェアお願いします!
「遺伝子検査に関する全知識まとめ」の記事一覧
-
遺伝子検査とは? - 種類や費用など -
遺伝子検査とは、DNAから遺伝子を解析し、体質や遺伝性疾患、病気のリスクなどを調べる検査です。このページでは、遺伝子検査の種類、費用、そしてDTC(Direct-to-Consumer)遺伝子検査について、解説します。…
-
病院で受ける遺伝子診断とDTC遺伝子検査の違い
病院で受ける遺伝子診断(遺伝学的検査)とDTC遺伝子検査との違いは、それが医療行為の「診断」にあたるかどうかです。単一の遺伝疾患や遺伝的要因によって発症する可能性が極めて高い疾患の調査は「診断」にあたるため、DTC遺伝子検査では実施していません。…
-
DTC遺伝子検査の流れ、方法
DTC遺伝子検査のステップは、おおむね「キットの購入」「検体の郵送」「DNAの解析」「結果通知」という流れです。最終的に検査結果が手元に届くまでの期間は、おおむね数週間~2か月程度です。…
-
DTC遺伝子検査の精度と信頼性・信憑性
DTC遺伝子検査を受けるにあたって、最も気になるのは、その精度と信頼性・信憑性です。この点について、経済産業省は、3つの課題「分析の質の担保」「科学的根拠」「情報提供」について論点整理を行っていますのでは、これらについて解説します。…
-
日本での遺伝子検査に関するガイドライン
国内の各省庁、団体もガイドラインを遺伝子検査ビジネスを抑えるための規制ではなく、適正なビジネスに育てていくためのルールづくりととらえています。ここではその一部を紹介いたします。…
-
DTC遺伝子検査の調査項目 - 分かること、分からないこと
DTC遺伝子検査では、SNPを調査し、多数の遺伝因子や環境因子が絡んだ疾患の将来的なリスクや体質等の傾向についての情報を提供します。一方、「単一遺伝子疾患」、「家族性がん(遺伝性のがん)」等については、医師法に抵触してしまうことなどから、ほぼサービス対象外です。…
-
DTC遺伝子検査を受けるデメリット、問題点
DTC遺伝子検査を受ける主なデメリットは、検査結果がもたらす心理的負担と「遺伝子差別」の可能性です。また、受ける会社によって検査結果が異なることも、問題点の1つです。…
-
遺伝カウンセリング - 遺伝子検査で不安になったら?
遺伝に関する不安は、専門の遺伝カウンセラーに相談することができます。遺伝カウンセラーは、大学病院等のほか、一部のDTC遺伝子検査会社にも在籍していて、検査利用者からの相談に応じてくれます。…
-
アメリカ、中国など海外でのDTC遺伝子検査
欧米ではDTC遺伝子検査の質的な保証や提供体制について、規制や法律の整備、専門家を中心とした第三者検証機関の設立などの取り組みが進められています。一方、中国では、「ヒト遺伝子試験管理部」によって規制されています。…
-
Gattaca(ガタカ)は遺伝子検査の未来なのか?
Gattaca(ガタカ)(1997年:米国)は、遺伝子検査関連の書籍を読んでいると、必ずと言っていいほど引き合いに出される映画です。このページでは、ガタカのあらすじ紹介とガタカの世界の実現性について、考えてみたいと思います。…
-
日本で行われる出生前診断の種類
出生前診断では胎児の遺伝子から、ダウン症や先天性の疾患を調べます。このページでは、日本で行われている代表的な検査、超音波断層法(エコー)、母体血清マーカー検査、絨毛検査、羊水検査そして新型出生前診断(NIPT)について、説明します。…
-
新型出生前診断(NIPT)の検査精度について
皆さんは、病気の検査を受けたとき、最初の検査では陽性だったのに、その後、精密検査を受けたら陰性だった、というような話をよく聞かないでしょうか。ここでは、新型出生前診断(NIPT)の検査精度について、少し説明をしたいと思います。…
-
アイスランドとデコード社の遺伝子研究事情
「アイスランド」という国に対して、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか。オーロラ、温泉、氷河、ビョーク、シガーロス、ムーム…。しかし、実は、アイスランドは世界有数の遺伝子研究先進国でもあります。…
-
親子鑑定は数万円から。DNA鑑定の利用例
DNA鑑定は、犯罪捜査や親子関係の鑑定、災害の犠牲者の身元確認などで利用され、遺伝子検査が最も実用化されている分野の1つです。このページでは、その利用例を紹介します。…
-
DNAチップを使ったSNPの型の調査方法
遺伝子検査におけるSNPの調査には、DNAチップが主に使われます。このページでは、このDNAチップを使って、SNPの型をどのように調べるかについて、紹介します。…
-
シークエンサーの仕組みと「1,000ドルゲノム」時代
ヒトの全ゲノムの解読が約13年の歳月と約3500億円の費用をかけて完了したのが2003年のこと。それが今では、約10万円の費用をかければ1日足らずで済むほど、ゲノム解析の技術革新が進んでいます。…
-
乳癌(乳がん)の遺伝子検査を受ける前に知っておきたいこと
乳癌(乳がん)の遺伝子検査について、検査対象となるBRCA1、BRCA2遺伝子のこと、遺伝子検査の流れと費用、病院での検査とネットなどから申し込める検査との違いなどをまとめました。…
-
着床前診断(PGD)とは
床前診断(PGD)とは、遺伝性の病気及び染色体異常に起因する流産を回避する目的で、体外で受精させた受精卵(胚)の一部を取り出し、遺伝子や染色体を解析、診断することです。このページでは、日本での着床前診断に関する状況と海外の状況を紹介します。…