DNAチップを使ったSNPの型の調査方法
公開日:2016年08月17日
遺伝子検査におけるSNPの調査には、DNAチップが主に使われます。このページでは、このDNAチップを使って、SNPの型をどのように調べるかについて、紹介します。
一度に数十万の遺伝子のチェックが可能なDNAチップ
遺伝子検査におけるSNP(スニップ:1塩基多型)の調査には、DNAチップが主に使われます。
DNAチップはDNAマイクロアレイとも呼ばれ、遺伝子の発現量を測定するために、多数のDNAプローブ※をプラスチックやガラスの基板上に高密度に配置したものです。1つのチップで、数万~数十万の遺伝子をチェックできるようになっているため、一度に大量の遺伝子多型、SNPの解析が可能です。
※ DNAの各塩基がAはT、GはCとのみ結合することを利用して、特定のDNA配列と結合させる(ハイブリダイゼーション)ための釣り針のようなもの
なお、現在使われているDNAチップには、以下の2つの方式があるそうです。
- アメリカのアフィメトリクス社(Affymetrix)が開発したGeneChip
- スタンフォード大学のブラウン研究室(Patrick O. Brown)が開発したcDNAマイクロアレイ(スタンフォード型、スポット型アレイ法)
DNAチップ(affymetrix社GeneChip) affymetrix.comより
DNAチップを使ったSNPの型調査の原理
このDNAチップを使ってどのようにして、SNPの型をどのように調べるのでしょうか。簡単な図で紹介したいと思います。
1、DNAを増幅させる
PCR法などによって、装置で読み取りできる量になるまで、検査するDNAを増幅させます。
2、DNAを酵素で切断する
増やしたDNAを酵素で切断します。
3、DNAをDNAチップに流し込む
切断したDNAをDNAチップに流し込みます。
DNAチップの1マスは、数十万個以上の微細な区画に分かれていて、それぞれの区画には、短いDNAがついたビーズがたくさん並んでいます。この短いDNAは、ヒトゲノムの参照配列をもとにした、特定のSNPの前までとペアになる塩基配列を持ちます。この塩基配列と調べたいDNAの断片の塩基配列がペアを作ることで、SNP以外の部分がくっつきます。
4、塩基をDNAチップに流し込む
蛍光標識したばらばらの塩基をDNAチップに流し込みます。SNPには、A、C、G、Tそれぞれに対応した塩基がくっつきます。
5、蛍光を読み取る
SNPにどの塩基がくっついたかによって、発する蛍光の色が異なります。
ペアになる塩基の組み合わせは決まっているので、この蛍光の色を読み取ることができれば、SNPの塩基が何なのか分かります。
このような仕組みを1つのチップに数十万用意することで、一度にたくさんの遺伝子のSNPを調べることができるのです。
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