親の顔は子供に遺伝。
これまでに見つかった顔つきを決める遺伝子

顔だちを決める遺伝子

2012年、オランダのエラスムスMC大学医学センターの研究グループが、ヨーロッパ人の顔だちに影響を与えると考えられる5つの遺伝子を見つけました。

PLoS Genet. 2012 Sep;8(9)
A Genome-Wide Association Study Identifies Five Loci Influencing Facial Morphology in Europeans

この研究では、オランダ、オーストラリア、ドイツの成人男女5,388人を対象に顔の3次元MRI（核磁気共鳴画像）と2次元写真から、顔だちの違いを数値化、また、全員のDNAを調査し、顔だちの違いとDNAの違いの関係性について、網羅的に調べました。

それぞれの目印との間の距離を測ることで、顔だちの違いを数値化
「A Genome-Wide Association Study Identifies Five Loci Influencing Facial Morphology in Europeans」より

その結果から、5つの遺伝子「PRDM16」、「PAX3」、「TP63」、「C5orf50」、「COL17A1」が、ヨーロッパ人の顔だちに影響を与えていると考えられると発表したのです。なお、「C5orf50」、「COL17A1」については、顔の形成との関わりがまだ分かっていませんが、「PRDM16」、「PAX3」、「TP63」には、顔の形成に不可欠な転写因子（遺伝子の働きを調整するタンパク質）の情報が書き込まれているそうです。

ヨーロッパ人の顔だちに影響していると考えられる遺伝子の染色体上の大まかな位置

ただし、顔の特徴を決める遺伝子はまだまだ多くのことが分かっていません。また、日本人、アジア人の場合、顔だちが欧米人とは異なるため、このオランダの研究で見つかった遺伝子とは別の遺伝子が、影響している可能性もあります。

あなたはお父さん似？お母さん似？

よく男の子はお母さん似、女の子はお父さん似といいますが、これな本当なのでしょうか。この点について、性染色体から考えてみると、今のところ、科学的根拠はなさそうです。

まず、顔だちが親のどちらかに似るということは、顔だちを決める遺伝子が性染色体にあるのではという考えが浮かびますが、先の「PRDM16」、「PAX3」、「TP63」、「C5orf50」、「COL17A1」遺伝子のように、顔だちを決める遺伝子は、性染色体以外の常染色体に多数あり、子供はそれらの遺伝子を両親から半分ずつ受け継いでいます。したがって、顔だちが両親どちらか一方の影響だけを受けるということは考えにくいのです。

また、もし仮に、X染色体に顔だちを決める重要な遺伝子があったとしても、女の子の場合は、母親、父親の両方からX染色体を受け継ぎますので、両親からの影響度合いは半々になるでしょう。

遺伝子検査で分かる顔の特徴

国内の遺伝子検査で顔の特徴の遺伝子を扱っている商品を調べました。「マイコード ヘルスケア」と「ジーンクエストALL」が「鼻筋の高さ」を検査項目に含めているようです。調べる遺伝子は、先ほど紹介したPAX3遺伝子のようです。もっとも、遺伝子検査を受けても、鼻を高くするアドバイスがもらえるわけではないと思いますが。

DeNAライフサイエンス - MYCODE（マイコード） - ヘルスケア

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検査項目は鼻筋の高さを含め約290と多く、体質、疾患、能力、祖先解析まで、広範囲を網羅。

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